一枚の皿を、ひもとく

久しぶりのブログで申し訳ありません。

今日はもう売れてしまったお品物なのですが、

とても面白い品物がありましたので、

そのいわれやお話を皆さまにもお話したいと思います。

写真のお皿は、1830年から1837年の間、イングランドのアデレード王妃の即位期間中にコールポートで製造された品物です。

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とても可愛らしい鹿が描かれており、デザインもとても洗練されています。

鹿の下には、文字があります。

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“JUS SUUM CUIQUE”とは、ラテン語の格言及びモットーとして使われた言葉で、「各人に各人の所有すべきものを」、「各人それぞれにふさわしいものを」といった意味を持ちます。

この言葉は、原語で調べていくとおそらく論文がいくつもかけてしまうような言葉です。起源は古代ギリシアの正義の理念にまでさかのぼり・・・

プラトンの『には、「正義は、万人が自分のことに取り組み、他人のことに干渉しないときに達成される。」、「万人は能力と技量にしたがって事を為し、全体として国家と社会に奉仕する。また万人は己のもの(権利)を受け取り、己のもの(財産)を奪われない。」などと記されているそうです。

※以上“JUS SUUM CUIQUE”については、ウィキペディアより抜粋。


このお皿、年代と格言については調べがつきましたが、

もうひとつ、この元の持ち主にまでさかのぼれる鍵がありました。

先日の骨董ジャンボリーの会場で、日本人のアンティーク収集家と英国人の老人がこの皿について色々な話しをして、教えてくれたのです。

まず英国人の老人がこの皿は、どこか大変由緒ある家のために作られたお皿だということ、またこの時代、ここまでのよい磁器は中国で製造して英国でブランドの印を押したものかもしれないと教えてくれました。

私は、中国に製造を発注して英国のブランド品として磁器を販売していたことを恥ずかしながら初めて知ったので、目からうろこのような感動がありました。1830年代に英国ではこのようなよい磁器が出来たのだろうか?私の時代考証が間違っていて、これはもっと新しいものではないか?とずっと疑問に思っていたのです。

また、模様くらいに考えていた鹿の絵は、実は家柄を示すものであったのです。

これは、家紋にこだわって品物を収集しているお客様に教えていただきました。その方にこのお皿は購入していただいたのですが、

その方のみたてによると、この皿はEarl of Gainsboroughつまりゲインズバラ伯爵家のために作られたものだということでした。

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上の画像は17世紀のゲインズバラ伯爵の家紋です。上の方に可愛らしい鹿がいますね。
鹿の乗っている棒のようなもののデザインも含めて同じなのでゲインズバラ伯爵家のお皿に間違いないようです。


アンティークの食器に家紋が入っているということは珍しいことではありません。ただ、私は鹿の絵を家紋と認識することができていなかったので、これもまた一つ勉強です。

因みにイギリスの磁器の刻印図録にはこのコールポートの刻印が載っていなかったので、クイーンアデレードが即位していた7年の間に製造された大変珍しい品物ということになります。

刻印には、

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Sparks,broad st worcester by appointment her majesty queen adelaide “アデレード女王陛下の任命によってブロードストリートのウースターに発動する“という意味(訳は上手くないかもしれませんが、)が書かれています。

Sparks=発動したのは、コールポートの会社のなにがしかなのか、あるいはのゲインズバラ伯爵のことなのか、現時点で私にはわかりません。謎がまだのこっていましたね・・・♪


因みに、コールポートは
18世紀半ばに創設されたブランドです。


アンティークって面白いですね。

また、面白い謎解きの品がありましたら、ご紹介します♪


by leangedelamaison | 2015-01-22 23:20 | 商品紹介
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